反政府軍に打撃 政治解決の道なお険しく
スリランカ軍は2日、反政府勢力「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)の拠点都市キリノッチを制圧した。LTTEにとって大きな痛手だが、内乱根絶というスリランカ政府の目的達成の見込みは小さい。
キリノッチ制圧は多数派のシンハラ人に歓喜をもって迎えられた。制圧に成功した2日、ラジャパクサ大統領は国民に向けて勝利演説を行い、LTTEに独立国家建設を放棄するよう呼びかけた。また、大統領は2009年を「勝利の年」と規定し、LTTEの殲滅(せんめつ)を誓った。
だが、スリランカ国防省でさえ、軍事的にみて、キリノッチはごく限定的な価値しかないことを認めている。キリノッチからは昨年9月以降、LTTE戦闘員を除いて人々は退去していたからだ。LTTEは彼らに有利な、北東部の海岸線に沿ったムライティブ地方のジャングルで戦うことになろう。スリランカ政府軍は、別の地域、とくにコロンボ周辺でLTTEのゲリラ戦やテロ攻撃に対処しなければならない。キリノッチ制圧発表の数時間後、コロンボの空軍本部近くで爆弾が炸裂(さくれつ)し、LTTEはコロンボで最も警備が厳重な軍事区域に侵入する能力を証明した。
少数派タミル人の孤立が深まり、国際社会の影響力が政治解決に無力であることから、タミル人の怒りと恐怖が高まっている。こうした状況は簡単にLTTEとタミル人独立国家建設への支持に結びつく。
キリノッチ制圧は、スリランカ政府にとって象徴的な勝利であり、軍の士気を高めるものだ。だが、内乱終結という目標に対して限られた戦略的価値しかない。多数派シンハラ人と少数派タミル人との亀裂は深まっている。信頼に足る政治解決はまだみえず、軍部の政治的発言力は増している。こうした動きから、スリランカの紛争と民族的・政治的危機は終結するというより、深刻化しつつある。
(フジサンケイビジネス)
スリランカ軍は2日、反政府勢力「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)の拠点都市キリノッチを制圧した。LTTEにとって大きな痛手だが、内乱根絶というスリランカ政府の目的達成の見込みは小さい。
キリノッチ制圧は多数派のシンハラ人に歓喜をもって迎えられた。制圧に成功した2日、ラジャパクサ大統領は国民に向けて勝利演説を行い、LTTEに独立国家建設を放棄するよう呼びかけた。また、大統領は2009年を「勝利の年」と規定し、LTTEの殲滅(せんめつ)を誓った。
だが、スリランカ国防省でさえ、軍事的にみて、キリノッチはごく限定的な価値しかないことを認めている。キリノッチからは昨年9月以降、LTTE戦闘員を除いて人々は退去していたからだ。LTTEは彼らに有利な、北東部の海岸線に沿ったムライティブ地方のジャングルで戦うことになろう。スリランカ政府軍は、別の地域、とくにコロンボ周辺でLTTEのゲリラ戦やテロ攻撃に対処しなければならない。キリノッチ制圧発表の数時間後、コロンボの空軍本部近くで爆弾が炸裂(さくれつ)し、LTTEはコロンボで最も警備が厳重な軍事区域に侵入する能力を証明した。
少数派タミル人の孤立が深まり、国際社会の影響力が政治解決に無力であることから、タミル人の怒りと恐怖が高まっている。こうした状況は簡単にLTTEとタミル人独立国家建設への支持に結びつく。
キリノッチ制圧は、スリランカ政府にとって象徴的な勝利であり、軍の士気を高めるものだ。だが、内乱終結という目標に対して限られた戦略的価値しかない。多数派シンハラ人と少数派タミル人との亀裂は深まっている。信頼に足る政治解決はまだみえず、軍部の政治的発言力は増している。こうした動きから、スリランカの紛争と民族的・政治的危機は終結するというより、深刻化しつつある。
(フジサンケイビジネス)


